私は難関国立大学院を出たのに新卒就活で判断を誤り、「新卒プレミアム」を零細企業に差し出してしまいました。
入社して分かったのは、そこが新卒を育てる前提のない、制度も経営も不安定な会社だったこと。結果、私は10ヶ月で早期退職を決断することになります。
よく「大手なら早期転職は選び放題」と言われますが、これは半分正しくて半分違います。
大手に入っていれば、そもそも“辞めざるを得ない理由”が発生しなかった。
その現実をあとから痛感しました。
同級生と比べても、
- 年収
- キャリアの積み方
の両方でビハインドを負いました。
今は割り切れていますが、最初の1社が人生に与える影響は想像以上に大きいと強く実感しています。
だからこの記事を書きます。
大学3年・修士1年の私が知っていたら確実に人生が変わっていた内容だけをまとめました。
大学のキャリアセンターは頼っていいが「任せてはいけない」
キャリアセンターに悪意はありません。ただ、構造的にあなたの長期キャリアを守れる設計になっていません。
- KPIは「内定数」=内定の質は評価されない
- 面接官の視点・評価軸を理解していない
- 転職市場や職種の価値を説明できない
使うならES添削や求人検索の補助輪まで。キャリア判断は任せてはいけません。
同級生・先輩・就活垢は“情報源としては使えない”

理由はシンプルで、どれも解像度が低すぎるからです。
同級生
企業構造も職種の役割も知らないため、話していても情報の質が上がりません。
1〜2年上の先輩
- 自分の部署しか知らない
- 評価軸や異動を理解していない
- 転職市場の現実も知らない
就活垢(X)
- 商材屋・新卒紹介の誘導
- 承認欲求で盛られた成功談
- 他人と比較してメンタルが削れる
情報源としてはほぼ全滅です。
正しい相談相手は「距離が遠い大人」

就活は、距離が近い人ほど情報が浅く、遠い人ほど本質を知っています。
特に強い:30代〜管理職手前のOBOG
- 自分のキャリア選択の結果をすでに経験している
- 部下育成・評価のリアルを知っている
- 異動や部署文化の実態を理解している
- 採用側の思考を理解している
就活垢100人分以上の価値があります。
両親も“相談相手として強い”(関係が良好なら)
もし両親と関係が良好で、相談できる距離感があるなら、両親も有力な相談相手です。
両親は子育てを通して、多様な家庭・働き方・職種の大人を長年見てきたという強みがあります。
母親
WLB寄りで「大企業がいいよ」程度の助言でも、無理して壊れた人・両立が難しい環境など、生活者としてのリアルを多く見てきています。
父親(正社員・自営業で長年働いている場合)
- ブラックの臭い
- 昇進・評価の現実
- 長く働ける会社の特徴
- 潰れる会社の兆候
本人が言語化できなくても、直感が正確なことは多いです。
最大の強みは「利害なく、本気であなたの幸せだけを考えている」こと。
もちろん、そうではない家庭もあります。相談できる関係なら強力な味方、そうでなければ無理に頼る必要はありません。
OBOGにも“当たり・地雷”がある
地雷OBOGの特徴
- 説明が抽象的(固有名詞・数字がない)
- 評価軸を理解していない
- 異動や部署構造を説明できない
- WLBだけを理由に負荷の軽い部署に逃げただけ(戦略性がない)
当たりOBOGの特徴
- 仕事内容を固有名詞+数字で説明できる
- 上司の評価軸を理解している
- 若手の成長ルートを語れる
- 市場価値視点で助言してくれる
本命企業ほど「最低3人」に話を聞くべき理由
大企業は、部署が違うと別会社レベルで文化や仕事が違うことがあります。
- 経理と財務
- 本社と子会社
- HQと現場
- 営業部と管理部門
1人だけだと情報が偏るため、本命企業ほど最低3人以上のOB訪問が必要です。
業界情報は「就職四季報×業界地図×IRプレゼン」だけでいい
業界研究でやりがちなのが、企業HPの採用ページや就活メディア、就活垢だけを見て終わるパターンです。これらは学生向けに加工されたPR情報で、本質が見えにくいです。
就職四季報:学生が使える中で最強の一次情報
『就職四季報』は、就活生が見られる中で最も“嘘が少ない”データ源です。
- 離職率・残業時間
- 平均年収
- 採用大学の傾向
- 有休取得・働き方の傾向
企業側のPRではなく、編集部独自調査なので、無料情報より信用度が高いです。
業界地図:競合とポジションを一枚で掴む
日経や東洋経済の業界地図を1冊持っておくと、業界内の勢力図が一目で分かります。
- どの企業がどのグループか
- 誰と誰が競合なのか
- どの領域が伸びているのか
「他にどこを受けていますか?」という質問は、会社名並べゲームではなく、業界を見たうえで選んでいるかを見られています。
IRプレゼン資料:事業の“お金の流れ”をざっくり掴む
有価証券報告書は正直かなり難しいので、まずは決算説明資料(IRプレゼン)だけでOKです。
- どの事業で儲かっているか
- どの市場に投資しているか
- 今後どこを伸ばしたいのか
分からないところはChatGPTに聞きながら読む前提で構いません。「〇〇社の決算説明資料を就活生向けに噛み砕いて」と投げれば、かなり理解が進みます。
なぜ無料情報をそのまま信じてはいけないのか
この時代、ネット上の情報は無料でいくらでも手に入りますが、
- 企業公式:PRフィルターが強い
- 就活メディア:広告・アフィリエイト前提
- SNS:バズ優先・再現性ゼロの成功談
といったバイアス持ちの情報ばかりです。
だからこそ、投資家も使うような就職四季報・業界地図・IRプレゼンのほうが、むしろ就活生にとって安全で本質的です。
(このブログも結局は一個人の経験談ですが、「無料情報は疑って当たり前」という前提で動いてほしい、という立場です。)
ES・面接は「AI×人間」のハイブリッドが最強
ChatGPTが得意なこと
- ESの構造整理
- 志望動機の論理構築
- 面接の想定問答
- 職種理解の基礎固め
人間(OBOG)が得意なこと
- 評価軸・社内政治
- 部署文化・上司のタイプ
- 異動の仕組み・出世の現実
ChatGPTで土台を作り、OBOGで精度を上げる。これが一番効率が良いです。
就活生が理解していない“目的語(機能軸)”
多くの就活生は「どの会社か」ばかり気にして、自分が“会社のどの機能を担うか”を理解していません。
仕事は、本質的にはこの4つに分けられます。
- ① つくる(開発・企画・クリエイティブ)
- ② 売る(営業・マーケ・CS)
- ③ お金を回す(経理・財務・経営企画)
- ④ 組織を回す(人事・法務・総務)
まずこの軸で「自分はどこに近いか」を考えないと、ESも面接もズレ続けます。
※補足:目的語に“こだわりすぎる”と逆に落ちる
目的語(機能軸)は自己分析には有効ですが、「この職種じゃないと嫌です」のように強く固定すると、採用側にはリスクとして見られます。
企業の本音はシンプルで、「そこまで配属希望を固定されても調整できない」というもの。部署間の人員バランスや異動事情があるため、こだわりが強い学生は扱いにくく評価されがちです。
だから面接で語るべきは、職種名そのものではなく、「どんな方向性の仕事で力を発揮したいか」です。
- × 経営企画じゃないと嫌です
- ○ 数字を扱う仕事や、構造化して考える業務で力を発揮できます
この“方向性の伝え方”なら、適性を示しつつ、配属調整の柔軟性も残るため、採用側から見ても安心感のある学生になります。
今日からできる相談戦略ロードマップ
- 同級生に相談しない
- 就活垢を情報源にしない
- キャリアセンターは補助輪として使う
- 本命企業は3人以上にOB訪問する
- 就職四季報・業界地図・IRプレゼンで業界構造を押さえる
- ChatGPTでESや業界理解の土台を作る
- OBOGで企業文化・評価軸など本質情報を補う
- 両親(関係が良好なら)も相談先に入れる
これだけで、「情報弱者ゾーン」から一歩抜け出せます。
終章:就活は「情報戦」。相談相手と情報源で勝敗が決まる
私はそれを理解できず、一社目を間違え、大きな遠回りをしました。
この記事を読んだあなたには、間違った相談先や無料のノイズ情報に、人生を振り回されてほしくありません。
正しい大人から、正しい情報源で学べば、就活は必ずマシになります。必ず。
