なぜあの人が昇進して自分はしないのか|組織構造・配属運・責任の果たし方まで“評価の裏側”を全部説明する

昇進する人と昇進しない人の違いを、組織構造と安定性の観点から対比した抽象ビジネスイラスト 仕事とキャリア

「同期が昇進したのに、自分だけ上がらない」
「成果を出しているはずなのに扱いが変わらない」。

昇進は能力だけで決まるわけではありません。

むしろ会社の構造・配属タイミング・責任の果たし方など、複数の要因が複雑に絡みます。

この記事では、昇進の裏側にある“会社の本当の評価軸”を言語化しつつ、巻き返すための行動を具体的に説明します。


昇進は「能力順」ではない理由

① 昇進は“長期マラソン”であり、瞬間風速では決まらない

会社の昇進は、レースのような「ライン越え」ではなく、長期間の安定した走り方で決まります。途中で止まれば抜かれるし、遅れてスタートしても巻き返せる。
上司は「この人は長距離を走れるか?」を見ています。

  • 波が少なく安定しているか
  • 責任を果たせるか
  • 配属変更後も走れるか

短期的な成果より「継続的に任せられるか」の方が昇進に直結します。

短距離走は一瞬の速さが勝負ですが、
マラソンは「ペースを守れる人」が勝ちます。
昇進はマラソンに近く、
一時的に速い人より“落ちない人”が評価されやすい。

② “責任の果たし方が見える人”ほど昇進しやすい

昇進の前提は能力ではなく、責任をどう扱うかです。
任せたタスクをどう進め、どのタイミングで上司に材料を渡し、問題が起きたらどう動くか。
この一連のプロセスが安定してできる人が昇進します。

  • 進捗を握っている(途中で見せる)
  • できないときに早めに知らせる
  • 判断材料をそろえたうえで相談する

「自分で抱え込んでギリギリで爆発する」タイプは、どれだけ成果を出しても昇進しにくい構造です。

③ 組織の“配属状況とタイミング”が強烈に影響する

昇進は公平なようで、公平ではありません。会社の都合が強く影響します。

  • 部署の増減タイミング
  • 人員の過不足
  • プロジェクトの立ち上げ・縮小

縮小部署にいると昇進しづらいという誤解がありますが、実際は逆です。縮小を円滑に着地させるのは高度な業務で、会社から見れば重要な成果です。

④ “上司との相性”は半分は実力、半分は環境

上司との相性は確かに存在します。ただし、相性=性格ではありません。

  • 期待値を握れるか
  • 報連相の頻度・タイミングが合うか
  • 前提のすり合わせが丁寧にできるか

「上司が悪い」だけで片付くケースもありますが、多くの場合はコミュニケーション設計の問題です。

会社員の世界では、上司に合わせる力も“能力”として扱われます。


なぜ“あの人”が昇進するのか(構造で見る)

① 「任せて問題が起きない」人だから

昇進する人は、仕事の“巻き取りコスト”が低いです。
つまり、任せたら勝手に迷惑をかけずに前に進む人です。

  • 進捗の透明性が高い
  • 方向性を途中で確認してくる
  • できないときに早く言う

能力よりも、上司が安心して委譲できるかが優先されます。

工場で、必要な部品を自分で探さずに
「見つかりませんでした」とすぐ上司に返してくる作業者がいたら、
上司は毎回探しに行く必要があり、
その人を重要ラインに置きたくなくなります。

② “周囲を巻き込める”から

人を巻き込む力は、責任を果たす力とセットです。

わからない部分を自分で抱えず、周囲に働きかけて前に進める人は評価されやすいです。

  • 必要な情報を自分で取りに行く
  • 関係者に早めに確認する
  • 外部への調整を躊躇しない

上司は「自分が動かなくても進む人」を昇進させます。

③ 配属されたポジションの“重要度”が高かったから

重要なプロジェクトや新規事業は、昇進に直結します。

単純に、成果が会社の目に入りやすいからです。

逆に成果が外から見えない業務でも、プロセスをオープンにして「どんな問題をどう解決したか」を可視化できれば、昇進の対象になります。

サッカーで、ストライカーの人材が薄い年は平凡な選手でもレギュラーになりやすい。
一方、MFが豊富なチームでは、実力があっても出場チャンスは減る。
配属もこれと同じで“枠の問題”が必ずある。


あなたが昇進できていない理由(構造で分析)

① 責任の果たし方が上司に見えていない

能力が低いわけではなく、進め方・途中の透明性・相談タイミングがズレているだけの人が多いです。

② 優先順位を自己判断してしまう

優先順位は上司が持っている情報で決まるため、若手が自己判断するとズレます。
ズレれば仕事は止まり、評価も止まります。

③ 上司の認知コストが高くなっている

伝え方の問題で「何を判断してほしいのか」が見えないと、上司はあなたのタスクを巻き取れません。これだけで評価は低くなります。

④ 配属ポジションが成果の見えにくい領域だった

これは本人の責任ではありません。
が、見えにくいなら見えるように整えることができます。

店じまいの時、棚卸しや掃除をきちんと締められる人は信頼されます。
たとえ売り場が縮小中でも、「最後まで乱さない人」は次の店舗でも重宝される。

⑤ 会社の政治・タイミングの影響を受けている

人事異動、上層部の方針、部署の再編なども大きく影響します。個人ではどうにもできない要素があるのは事実です。


ここから巻き返すための具体的アクション

  • 優先順位の握りを上司に委譲する
  • 中間成果物の確認を必ず入れる
  • できないことは“早めに”相談する
  • 成果が見えない仕事はプロセスを可視化する
  • 配属条件が不利なら「異動希望」をロジカルに出す

構造を理解して動けば、昇進は十分に巻き返せます。


まとめ:昇進は“構造理解 × 期待値の握り”で決まる

昇進は能力順ではありません。

構造の理解・責任の果たし方・優先順位の握り方・巻き込み力・タイミング。

その複合で決まります。

会社の構造を理解し、期待値を外さない動きができれば、あなたはちゃんと昇進できます。巻き返しはいつからでも可能です。

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