「ちゃんと仕事しているつもりなのに、評価が上がらない」
「有給もルール通りに取っているのに、なんとなく信用されていない気がする」
もしそう感じているなら、
原因は「サボっているから」でも「能力が低いから」でもなく、
上司から見て、あなたの“責任の果たし方”がよく見えていない
という可能性が高いです。
この記事では、
- なぜ若手の評価は「休み方」や「進め方」の印象で大きく変わるのか
- どんな行動が「責任感がある/ない」と判断されるのか
- 体調やメンタルに波があっても、任せてもらえる人になる方法
を、上司側の視点と明日から使える具体策に落として解説します。
この記事でわかること
- 若手の評価は「能力」だけでも「安定性」だけでも決まらない理由
- 上司が見ているのは「責任の果たし方」と「巻き取りやすさ」であること
- なぜ「休み方・進め方」で損をする若手が多いのか
- 評価が止まる5つのパターンと、その直し方
- 体調・メンタルの波があっても、信用を積み上げる具体的な動き方
評価を決めるのは「安定性」ではなく「責任の果たし方」
よくある誤解が、
「仕事ができる人=能力が高い人」
「評価される人=安定している人」
という二択で考えてしまうことです。
現実の評価はもう少し複雑で、上司が見ているのは、
- 与えたタスクに対して、どこまで自分で責任を持とうとしているか
- 自分一人では無理なときに、どのタイミングで相談してくるか
- 巻き返しが必要なときに、自分から動いてくれるか
- 最悪のときでも、上司が最後に「巻き取れる」状態で渡してくれるか
といった「責任の果たし方」です。
体調やメンタルに波があっても、
仕事の難易度がそこまで高くなくても、
責任の果たし方が見えている人は、安心して任せられます。
逆に、どれだけ能力があっても、
- 途中の状況が分からない
- 締切直前まで何も言ってこない
- 休み方や体調不良でタスクが“落ちる”
こうした行動が続くと、
「この人に任せると、最後に自分が大事故で巻き取るかもしれない」
と上司に感じさせてしまいます。
ここから、「安定性」の前にある
「責任の果たし方が見えない」状態を分解していきます。
10分ごとに到着時刻が変わるバスがあったら、
誰も予定が組めません。
本人が「ちゃんと走っている」つもりでも、
周りからすると“不安定な交通手段”扱いになる。
なぜ「責任の果たし方が見えない」と評価が止まるのか
上司の立場で仕事を見てみると、評価を決めるときの頭の中はだいたいこんな感じです。
- この人に仕事を渡したとき、どこまでやってくれるか
- 自分がフォローする必要があるのは全体の何割か
- トラブルが起きたとき、すぐに相談してくれるか
- 締切直前に「実は…」と言われないか
つまり、
「この人に任せたとき、自分の負担は増えるのか減るのか」
が一番見られています。
ここで負担が増える方向に見えると、
- 重要な案件は任せづらい
- 1人で動かすのが怖いので、誰かとセットにする必要がある
- 責任範囲が大きくなるポジションには上げづらい
という判断になり、結果として評価や昇進の話が進まなくなります。
ここからは、
「責任の果たし方が見えない」状態がどうやって生まれているかを、
具体的なパターンで見ていきます。
よくある落とし穴(休み方・進め方で損するパターン)
落とし穴1:納期と「いつまでにどの状態か」を握れていない
「今日中にお願いします」「今週中でOKです」と言われたとき、
あなたはどこまで具体的にイメージできているでしょうか。
上司が頭の中で思っている「今日中」は、
- 定時までなのか
- 残業してもいいから終日なのか
- 自分が確認できる時間(たとえば16時)までなのか
人によって、全く違います。
ここを握らずに進めていると、
- 本人は「今日中に出したつもり」
- 上司からすると「確認できない時間に出されても困る」
というギャップが生まれ、
そのたびに「結局、最後は自分で段取りを組み直さないといけない人」
というラベルがついていきます。
旅行に行く前に家のゴミを出しておくと安心して出発できます。
仕事も同じで、「途中で止まらないように片付けてから休む」
だけで相手の不安がゼロになる。
落とし穴2:締切前日までに「上司の確認」を入れていない
どんな仕事にも、
「ここで一度、方向性を確認しておいた方がいい」というポイントがあります。
ところが、
- 自分の判断だけで最後まで進めてしまう
- 締切前日まで一度も見せない
- 当日に初めて完成版を出す
という進め方をすると、
間違っていたときに巻き返しの時間がゼロになります。
上司からすると、
「もっと早く見せてくれれば、一言で修正できたのに…」
というストレスが溜まっていきます。
この状態で、さらに「締切前日に休みます」が重なると、
上司は「この人に任せると、巻き取る余地がなくなる」と感じます。
落とし穴3:休み方が「事後報告」で、タスクの行き先が見えない
有給は権利です。
休むこと自体は悪ではありません。
問題になるのは、
- タスクの状況を共有しないまま「明日休みます」とだけ言う
- 休んだ結果として「間に合いませんでした」となる
- 事後報告で「実は体調が悪くて…」と出してくる
という「休みの影響が事前に握られていない状態」です。
上司からすると、
- このタスクは誰がいつまでに終わらせる想定だったのか
- 自分が巻き取るべきなのか、別の人に振るべきなのか
- どの程度まで進んでいたのか
が分からないまま、「落ちたボールを拾う役」をやらされることになります。
落とし穴4:体調・メンタルの波を“前提にした設計”がない
体調やメンタルに波があること自体は、
それほど珍しいことではありません。
問題は、波があることではなく、
- 波が来やすいタイミングを自分なりに把握していない
- 山場に向けて前倒ししておく、という設計がない
- 「波が来たら全部落ちる」進め方をしてしまう
という「波を前提にした仕事設計がない状態」です。
上司からすると、
「この人は、体調が崩れた瞬間にタスクが全部止まる」
という印象になり、
責任範囲の大きい仕事を任せづらくなります。
落とし穴5:できる部分までやらずに「丸ごと質問」してしまう
上司が一番しんどいのは、
- 本当は自分で5割くらい進められるはずなのに、1割だけやって「全部分かりません」と返される
- どこまで考えていて、どこから分からないのか切り分けていない
- 「わからないことがわからないです」と丸投げされる
というパターンです。
この状態では、
上司はあなたの頭の整理から一緒にやる必要があるので、
「任せた方が楽」どころか「自分でやった方が早い人」になってしまいます。
認知コストと伝え方については、こちらで詳しく書いています。
明日からできる「責任の果たし方」の改善策
ここからは、
「責任の果たし方が見えない人」から
「任せても大丈夫な人」に変わるための、具体的な動きをまとめます。
改善1:最初に「いつまで・どの状態か」を上司と握る
「今日中にお願いします」と言われたら、
一言だけこう聞いておきます。
「今日中というのは、
・定時までにドラフトを出すイメージか
・終日中(夜でもOK)か
・〇時までに上司の確認ができる状態か
どのイメージでしょう?」
これだけで、
上司の頭の中のスケジュールと自分の動きが揃います。
優先順位や段取りの詳しい話は、こちらも参考になります。


改善2:締切の前日までに「一度は上司の確認」を入れる
どんなタスクでも、
締切前日までに一度は上司に見せることを、自分ルールにします。
たとえば、
- 「ここまでの方向性で進めてみました。大きくズレていないかだけ、確認いただけますか?」
- 「この章立てで進める想定ですが、問題ありそうなところはありますか?」
といった形で、
「完璧なもの」ではなく「方向性の確認」を取りに行くイメージです。
こうしておくと、
締切当日に大きなズレが発覚するリスクが減り、
上司から見ても「巻き返し前提で動ける人」になります。
改善3:休むときは「タスク/影響/引き継ぎ」をセットで伝える
休みを取るときは、
「明日休みます」だけで終わらせず、
- 自分が持っているタスク一覧
- 現時点でどこまで進んでいるか
- 休むことで、どのタスクにどんな影響が出るか
- 必要なら、誰に引き継いでおくのがよさそうか
ここまでセットで共有します。
例:
「明日、有給を取りたいと考えています。
A案件:ドラフトまで完了しており、〇さんに共有済みです。
B案件:資料集めが7割まで進んでおり、締切は来週月曜です。
明日休む場合、B案件だけ△さんに引き継ぎが必要になる想定ですが、
この進め方で問題ないか確認させてください。」
ここまで準備したうえで休む人は、
「責任を放り出している人」ではなく「設計した上で休む人」として見られます。
改善4:自分の「波パターン」を把握して、前倒し設計する
体調やメンタルの波がある人ほど、
「どのタイミングで落ちやすいか」を自分で把握しておくことが重要です。
- 生理周期とパフォーマンスの関係
- 睡眠負債が溜まりやすい曜日
- 仕事の山場と自分の落ちやすいタイミング
これをざっくりでもいいので可視化しておき、
- 山場の2〜3日前までに、できるところは前倒ししておく
- 「この週は少しパフォーマンスが落ちそうです」と、早めに上司に共有しておく
といった動きをしておくと、
「波がある前提で設計できる人」として扱われます。
波を「言い訳」にするのではなく、
「前提条件」として設計するイメージです。
改善5:質問は「自分でやった部分/分からない部分」を切り分ける
質問や相談をするときは、
次のテンプレで話すことを自分ルールにしてしまいます。
- 【自分でやったこと】ここまで情報を集めて、この案とこの案を考えました
- 【分からないところ】この部分の判断がつかず止まっています
- 【聞きたいこと】AとBのどちらで進めるのがよさそうでしょうか?
この3点があるだけで、
上司は「どこまで任せてよくて、どこから自分が判断すべきか」が一瞬で分かります。
丸投げではなく、
「ここまでやった上での相談です」という形を徹底するだけでも、
「責任の果たし方が見える人」に近づきます。
伝え方全般については、こちらの記事もあわせて読むと整理しやすいです。
関連して読んでおきたい記事
この記事は、昇進・評価まわりのクラスターの一部です。
あわせて読むと、全体像がかなりクリアになります。
まとめ(今日ひとつだけやればOK)
最後に、今日ひとつだけやってほしいことは、
「直近1か月で、自分の“責任の果たし方が曖昧だった場面”を3つ書き出すことです。
- 納期と「どの状態までか」を握れていなかった
- 締切前日まで一度も上司の確認を入れていなかった
- 休み方が事後報告になっていた
- 波が来る前提で前倒しできていなかった
- できるところまでやらずに丸ごと質問していた
どれか1つでも「これ、自分やってるかも」と思ったら、
次の1回だけでいいので、この記事の改善策を試してみてください。
評価は、「完璧な人」ではなく「任せたときに巻き取りやすい人」から上がっていきます。
責任の果たし方が見える人になれば、
休み方や波があっても、きちんと信用は積み上がります。





